ノー!ハプサ(NO!合祀)声明
ノー!ハプサ(NO!合祀)声明
1・17最高裁判決を受けて
最高裁判所第二小法廷(岡村和美裁判長)は、ノー!ハプサ
第2次訴訟原告の上告を棄却し、原告のうち、在韓軍人軍属裁判
原告と重複していない4名(權香子(クォン・ヒャンジャ)さん、
朴南順(パク・ナムスン)さん、張鎮花(チャン・ジナ)さん、
董定男(トン・ジョンナム)さん)の「上告受理申立」のうち、
「相手方国が相手方靖國神社に情報を提供した行為を理由とする
損害賠償に関する部分に限」り、これを受理し、1月17日に判決を
言い渡した。判決言い渡しには、原告4名のうち、朴南順
(パク・ナムスン)さんが出廷した。

朴南順(パク・ナムスン)さん
第二小法廷は、原告の父親らは1959年までに合祀されたとして、
被害の発生から20年を過ぎると賠償請求権が消滅するとした
民法の「除斥期間」により、賠償を求める権利は提訴時に
失われていたとして、訴えを退けた。
しかし、そもそも、原告ら遺族は、日本政府から死亡通知もなく、
遺骨も返還されておらず、合祀の意思確認も通知さえ受け取っていない。
このような韓国の遺族がどのように合祀の事実を知ることができる
だろうか。不可能であることは明らかだ。判決後の集会で、
原告の朴南順(パク・ナムスン)さんは「父が死亡したことも、
靖國神社に合祀されたことも、2010年まで一切知らされなかった。
提訴が遅かったというのは、逃げの判決だ」と厳しく批判した。
また、第二小法廷は、靖國神社に対する上告は全て棄却し、
靖國神社を免責した。「靖國神社に対する情報提供行為」を
取り上げるのであれば、情報提供行為と不可分一体であり、
原告ら遺族を長期に亘り苦しめている靖國神社の合祀行為も
取り上げるべきだ。
そういう意味でも不当判決であると言わざるを得ない。
一方、岡村裁判長は主文に加え、「事案の重要性に鑑みて」として、
判決の要旨を朗読し、「補足意見と反対意見が付されている」と補足した。
判決書は、三浦守裁判官の反対意見書が大半を占める異例のものだった。
三浦裁判官は、原告の主張を詳細に検討した上で、
「遺族の主張を前提にすれば、憲法が定める政教分離の規定に反する
可能性がある。合祀を望まない韓国人遺族がいることも想定しながら
合祀を推進しており、国の責任は極めて重い」と指摘し、
「必要な審理が尽くされていない」として、審理を高裁に差し戻すべき
だとした。さらに、「除斥期間」で上告を斥けた多数意見に対しても、
「被害者にとって著しく酷であり不合理」として、審理が尽くされて
いないと指摘した。
更に、三浦裁判官は「本件情報提供行為は、憲法20条3項の
政教分離規定に違反し、これにより、憲法13条及び20条1項の趣旨に
照らし尊重されるべき上告人らの上記人格的利益が侵害されたものであり、
現在も、本件情報提供行為と不可分一体の行為により侵害が継続し
損害が生じていると見る余地がある」「被上告人は、靖國神社における
合祀に対する直接的な協力という政教分離制度の中心的な問題において、
憲法に違反し、約30年もの長期にわたり、政府の政策として、
憲法上保護される上記人格的利益を有する者に対し、個人の尊厳及び
幸福追求に深く関わる犠牲を求める施策を実施してきたということが
できる」とも指摘した。合祀による人格的利益の侵害が現在まで
継続しているという指摘をしていることは注目に値する。
判決に同行した朴善燁(パクソニョプ)さん(朴憲泰(パク・ホンテ)
さんの孫)は、
判決後、弁護士と共に靖國神社を訪問したが、神社側は
「合祀取消に関する協議の余地はない」
「訴訟は、既に原告方の合祀取消等を求める権利がないことで確定」
しているとして、門前払いにした。
報告集会で、朴さんは「私の祖父は『中原憲泰』ではない、
朴憲泰(パク・ホンテ)だ」と創氏名で合祀を続ける靖國神社に対する
怒りをあらわにし、「私の祖父は望まない戦争に行って中国の地で
意味なく殺され、その後、日本軍国主義の亡霊が宿る靖國に合祀されている」
「次の世代が法廷闘争を引き継ぐだろうから、さらに強い支持と連帯を
お願いしたい」と訴えた。
2001年に元日本軍人軍属と犠牲者の遺族252名が初めて「合祀絶止」等を
求めて日本国を訴えた「在韓軍人軍属裁判」を引き継ぎ、靖國神社と
日本国に対し、「合祀絶止」を求めるノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟が
開始された。無断合祀取消を求める闘いは、およそ四半世紀に及ぶ。
犠牲者の子、妻、そして「生きていた英霊」被害者が闘ってきた
ノー!ハプサ第1次訴訟(2007年提訴)・第2次訴訟(2013年提訴)は、
ついに最高裁三浦反対意見を勝ち取った。
三浦反対意見を引き出した各論点は、「孫の世代」の新たな合祀取消訴訟に
引き継がれることになる。
戦後80年の冒頭を飾ったノー!ハプサ最高裁判決は現在も続く植民地支配を
清算する闘いのスタートとなった。
私たちは、今度こそ、靖國無断合祀取消を実現するために、新たな闘いに
踏み出すことをここに宣言するものである。
引き続くご支援をお願いしたい。
2025年1月20日

最高裁前で李熙子(イ・ヒジャ)さん

靖国神社に抗議する朴善燁(パクソニョプ)さん
1・17最高裁判決を受けて
最高裁判所第二小法廷(岡村和美裁判長)は、ノー!ハプサ
第2次訴訟原告の上告を棄却し、原告のうち、在韓軍人軍属裁判
原告と重複していない4名(權香子(クォン・ヒャンジャ)さん、
朴南順(パク・ナムスン)さん、張鎮花(チャン・ジナ)さん、
董定男(トン・ジョンナム)さん)の「上告受理申立」のうち、
「相手方国が相手方靖國神社に情報を提供した行為を理由とする
損害賠償に関する部分に限」り、これを受理し、1月17日に判決を
言い渡した。判決言い渡しには、原告4名のうち、朴南順
(パク・ナムスン)さんが出廷した。
朴南順(パク・ナムスン)さん
第二小法廷は、原告の父親らは1959年までに合祀されたとして、
被害の発生から20年を過ぎると賠償請求権が消滅するとした
民法の「除斥期間」により、賠償を求める権利は提訴時に
失われていたとして、訴えを退けた。
しかし、そもそも、原告ら遺族は、日本政府から死亡通知もなく、
遺骨も返還されておらず、合祀の意思確認も通知さえ受け取っていない。
このような韓国の遺族がどのように合祀の事実を知ることができる
だろうか。不可能であることは明らかだ。判決後の集会で、
原告の朴南順(パク・ナムスン)さんは「父が死亡したことも、
靖國神社に合祀されたことも、2010年まで一切知らされなかった。
提訴が遅かったというのは、逃げの判決だ」と厳しく批判した。
また、第二小法廷は、靖國神社に対する上告は全て棄却し、
靖國神社を免責した。「靖國神社に対する情報提供行為」を
取り上げるのであれば、情報提供行為と不可分一体であり、
原告ら遺族を長期に亘り苦しめている靖國神社の合祀行為も
取り上げるべきだ。
そういう意味でも不当判決であると言わざるを得ない。
一方、岡村裁判長は主文に加え、「事案の重要性に鑑みて」として、
判決の要旨を朗読し、「補足意見と反対意見が付されている」と補足した。
判決書は、三浦守裁判官の反対意見書が大半を占める異例のものだった。
三浦裁判官は、原告の主張を詳細に検討した上で、
「遺族の主張を前提にすれば、憲法が定める政教分離の規定に反する
可能性がある。合祀を望まない韓国人遺族がいることも想定しながら
合祀を推進しており、国の責任は極めて重い」と指摘し、
「必要な審理が尽くされていない」として、審理を高裁に差し戻すべき
だとした。さらに、「除斥期間」で上告を斥けた多数意見に対しても、
「被害者にとって著しく酷であり不合理」として、審理が尽くされて
いないと指摘した。
更に、三浦裁判官は「本件情報提供行為は、憲法20条3項の
政教分離規定に違反し、これにより、憲法13条及び20条1項の趣旨に
照らし尊重されるべき上告人らの上記人格的利益が侵害されたものであり、
現在も、本件情報提供行為と不可分一体の行為により侵害が継続し
損害が生じていると見る余地がある」「被上告人は、靖國神社における
合祀に対する直接的な協力という政教分離制度の中心的な問題において、
憲法に違反し、約30年もの長期にわたり、政府の政策として、
憲法上保護される上記人格的利益を有する者に対し、個人の尊厳及び
幸福追求に深く関わる犠牲を求める施策を実施してきたということが
できる」とも指摘した。合祀による人格的利益の侵害が現在まで
継続しているという指摘をしていることは注目に値する。
判決に同行した朴善燁(パクソニョプ)さん(朴憲泰(パク・ホンテ)
さんの孫)は、
判決後、弁護士と共に靖國神社を訪問したが、神社側は
「合祀取消に関する協議の余地はない」
「訴訟は、既に原告方の合祀取消等を求める権利がないことで確定」
しているとして、門前払いにした。
報告集会で、朴さんは「私の祖父は『中原憲泰』ではない、
朴憲泰(パク・ホンテ)だ」と創氏名で合祀を続ける靖國神社に対する
怒りをあらわにし、「私の祖父は望まない戦争に行って中国の地で
意味なく殺され、その後、日本軍国主義の亡霊が宿る靖國に合祀されている」
「次の世代が法廷闘争を引き継ぐだろうから、さらに強い支持と連帯を
お願いしたい」と訴えた。
2001年に元日本軍人軍属と犠牲者の遺族252名が初めて「合祀絶止」等を
求めて日本国を訴えた「在韓軍人軍属裁判」を引き継ぎ、靖國神社と
日本国に対し、「合祀絶止」を求めるノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟が
開始された。無断合祀取消を求める闘いは、およそ四半世紀に及ぶ。
犠牲者の子、妻、そして「生きていた英霊」被害者が闘ってきた
ノー!ハプサ第1次訴訟(2007年提訴)・第2次訴訟(2013年提訴)は、
ついに最高裁三浦反対意見を勝ち取った。
三浦反対意見を引き出した各論点は、「孫の世代」の新たな合祀取消訴訟に
引き継がれることになる。
戦後80年の冒頭を飾ったノー!ハプサ最高裁判決は現在も続く植民地支配を
清算する闘いのスタートとなった。
私たちは、今度こそ、靖國無断合祀取消を実現するために、新たな闘いに
踏み出すことをここに宣言するものである。
引き続くご支援をお願いしたい。
2025年1月20日
最高裁前で李熙子(イ・ヒジャ)さん
靖国神社に抗議する朴善燁(パクソニョプ)さん
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