ノー!ハプサ第2次訴訟控訴審判決行動の概要

ノー!ハプサ第2次訴訟控訴審判決行動の概要

 5月26日、ノー!ハプサ第2次訴訟控訴審の判決が
東京高裁101号法廷で言い渡されました。
今回も多くの傍聴者の皆さんが駆けつけてくださり、
法廷はほぼ満席となりました。

来日予定だった原告の董定男(トン・ジョンナム)さんが
コロナウイルスに感染し、来日を断念せざるを得なくなりました。
控訴審はコロナ禍で約2年にわたり中断を余儀なくされましたが、
最後までコロナに翻弄された訴訟でした。

今回は、原告の朴南順(パク・ナムスン)さん、第1次訴訟原告で
太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表の李熙子(イ・ヒジャ)さん、
そして、通訳として民族問題研究所の金英丸(キム・ヨンファン)さん
が来日しました。

 判決言い渡しはわずか「45秒」でした。
原告らの痛みに全く背を向けた「各合祀行為等及び本件情報提供行為に
よって法的保護の対象となる控訴人らの権利又は利益が侵害されたと
いうことはできない」
という不当判決です(詳細は声明及び判決書をご覧ください)。
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 判決後、裁判所正門前で抗議集会を行いました。原告の朴南順さんは
「裁判結果を聞いて手足が震えた」「日本の意思のままに父は靖国神社に
合祀された。父のいない年月を補償しろということではなく、
名前を削除してほしいということなのに、それをなぜ無視するのか」
「日本が強制的に連れていった父は24才で死亡した。裁判所は遺族が
書いた陳述書を一度でも読んでみたのか疑問に思う。最後まで闘う」
と訴えました。
 李熙子さんも「裁判所は、『靖国が合祀の事実を家族に知らせなかった
ことは過ちだ。名前を削除せよ』という判決を下すべきだった。
深いむなしさを感じる」「靖国は今でも犯罪行為を犯している。
今回の判決は、司法府もその犯罪行為に加担したことを示したもの」
だと批判しました。

 報告集会では「日本国家、日本社会の本質を突く重い裁判なんだと
いうことを改めて私たちは考えなければいけない。その中でも、
特に靖国神社は天皇制にからんでいるところに我々の闘争の究極の
問題があるということを改めて全員で確認したい」(大口昭彦弁護団長)
「新しくこの場で誓いたいことは、やはり、平和を守り大事な命を守ること。
戦争を止めると言うことがやはり靖国との闘いだということを改めて
私は覚悟してきました」(李熙子さん)と戦争国家体制強化が進む現在の
日本の社会状況の中でのノー!ハプサ訴訟の意味が訴えられました。
そして、李熙子さんからは「戦争を防ぐ闘いを皆さんと共にこれからも
頑張っていきたい。続けていきますが、共に闘ってくれますよね。みなさん」
と呼びかけられました。

 報告集会では、新たに犠牲者の孫の世代の合祀取り消し訴訟が
準備されていることも報告されました。
日本政府を被告とした慰安婦訴訟の到達点を踏まえ、日本での訴訟だけでなく、
韓国の裁判所でも提訴し、国際人道法の立場から靖国合祀という
「反人道的な人権侵害」を問うものです。今後、韓国側と連携しながら
新たな訴訟の準備も進めていきたいと思います。

 今回は判決の前後に様々な戦後補償関係の企画も展開しました。
25日には国会の議員会館で遺骨収集・返還問題で関係省庁との交渉が持たれ、
27日には過去清算共同行動との共催で郎論集会も開催しました。
強制動員問題で韓国の財団が肩代わりをするという政治決着が進む中で、
あたかも戦後補償問題が「解決」したかのようなキャンペーンが
張られていますが、遺骨問題・靖国合祀問題含め被害者の人権回復は
未だになされていません。そのことを社会に訴える一連の行動となりました。

原告らは6月3日に最高裁に上告しました。今後ともご支援お願いします。

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