1月17日 第6回口頭弁論(結審)の概要

第6回口頭弁論(結審)の概要

 1月17日、ノー!ハプサ第2次訴訟控訴審第6回口頭弁論が
東京高裁101大法廷で行われた。約3年ぶりに原告らが韓国から参加し、
法廷での陳述を行うとあって、この日を待ちに待っていたかのように、
大法廷をほぼ埋め尽くす支援者の方が駆けつけ、用意した資料はすべて
無くなりました。
 開廷と同時に裁判長が
「裁判所の事情で両陪席の裁判官が交代することとなった」と告げると
法廷に緊張が走りました。これまで何度となく裁判長が審理の打ち切りを
示唆する中、合議の結果、樋口雄一前高麗博物館館長が証人採用され、
今回も原告らの法廷陳述の機会が設けられ、陪席裁判官の存在が審理を
大きく左右してきました。これが判決にどう影響するかは分かりませんが、
新任裁判官に韓国の遺族らの訴えを新鮮な気持ちで受け止めてもらうほかありません。
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 陳述に立った原告の朴南順さんは
「靖國神社に父の魂がとじこまれていることを知って、私は絶望感を感じました。
なんで、私の父が戦犯と一緒に合祀されなければならないのでしょうか。
日本政府と靖國神社は、韓国人を強制的に動員し、死なせ、魂を
閉じ込めているのです。また、植民地時代に強制された日本式氏名で
合祀されているのです。父は今だに植民地時代を強制されているのです」
と訴えました。

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第1次訴訟原告であった太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表の李熙子さんは
「私は今年80歳を超えました。これまで訴訟を手伝ってくださった弁護士の方々と
支援者たちの情熱や暖かい心に支えられ、再び法廷に立ちました。
父のそばに行く日も遠くない年齢で、生前に終わるかどうかも分からない戦いを
続けています。できることであれば、涙や怒りと絶望に身震いするこの30年余りを
終わらせたいが、そうすることもできず、そうしてはならないと心を引き締めています。
すべての人間の命を尊重し、平和を望む切実さが込められているのです。
この訴訟が私の生存権の問題だったら、とっくに諦めていたはずです。
私が靖国訴訟をする理由は、家族としての義務であり、子どもの道理として
人生をかけて戦っていることです。私が生きている間は、止められない戦いです」
と訴えました。

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韓国人靖國合祀の実態を調査した東北アジア歴史財団の南相九さんは
「原告である韓国人の遺族の立場から見れば、靖国神社の韓国人合祀の問題は、
日本の韓国侵略と植民地支配に対する歴史認識を問う問題であり、原告の名誉に
関する問題です。日本の韓国侵略と植民地支配を美化する靖国神社に親や兄弟が
合祀されたことは、残された子として、耐えられる限度を遥かに越えた屈辱だと
思います」と強調しました。

最後に弁護団が最終準備書面を陳述し、
「『寛容』の名の下に、弱者に対してのみ自制を求め、そのことにより強者が
すでに行っている既成事実の維持が尊重され、擁護されることは許されない」
と訴え、最終弁論を締めくくった。

判決は5月26日に言い渡されます。

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