ノー!ハプサのこれから

東京地方裁判所に入る原告団.JPG

ノー!ハプサのこれから(第33回政教分離訴訟全国交流集会での報告)

事務局長 山本 直好

コロナ禍の1年

 2020年1月20日に第2次訴訟控訴審第1回口頭弁論が
行なわれ、朴南順さんが意見陳述を行ないました。
この時点では、これほどまで新型コロナウイルスの被害が
広がるとは予想もしていませんでした。
しかし、その後、口頭弁論期日が2度のわたり取り消され、
原告の来日も困難となり、現在も期日は未定のままです。
 裁判が行なわれない中、ノー!ハプサの活動としては、
昨年の6月と11月にニュースを発行しただけです。
原告らとの交流も途絶え、原告の皆さんも元気を失っていると
お聞きしています。しかし、原告の参加のないまま、
裁判だけが進むというのは、この訴訟ではあり得ないことです。
原告らとの交流を工夫しながら、原告の参加する裁判が開催
できるまで、その準備を進めたいと思います。
 裁判が開かれない中、毎回のように参加してくださり、
韓国の遺族の皆さんを支えてくださった、ジャーナリストの
関千枝子さんが、今年2月21日に亡くなりました。
私たちは大きな支えを失いました。今でも、受け入れられない
気持ちです。

情報公開制度を駆使した靖国合祀の実態解明

 ノー!ハプサは、国家プロジェクトである靖国合祀を
直接追及する唯一の裁判となってしましました。
残られた機会は少ないですが、最大限の努力をして靖国合祀の
実態を明らかにし、その違法性、違憲性を明らかにしたいと
思います。
 私たちは情報公開制度等を利用しながら、新たな資料を
明らかにしてきました。2007年に国会図書館が編纂した
「新編靖国神社問題資料集」には、厚生労働省の
「戦没者身分等調査に関する都道府県あて文書」所収の文書が
収められています。しかし、未収録文書があり、
情報公開請求でそれを入手し、裁判にも活用しました。
靖国合祀事務の都道府県や市町村の先進例を紹介した
生々しいものもありました。
 また、厚生労働省の地下倉庫には、旧陸海軍関係文書が
大量に保管され、そのリストを研究者から提供していただき、
「靖国神社合祀事務協力要領関係書類」等の情報公開請求を
行ないました。
「新編靖国神社問題資料集」には、行政内部の実務関係の
文書は余り見られませんが、こちらは、行政内部の文書が
多数含まれます。
 さらに、沖縄県公文書館には援護事業関係文書群
(2012年移管。4000件)が存在します。
「靖国神社合祀関係文書群」には、多数の合祀予定者の
名簿類のほか、行政文書群が含まれ、「靖国神社関係綴 
昭和31年-35年」「死亡公報取消関係綴」等を複写請求
しました。生存が確認できた方の合祀の取り消しを求めたという
内容の文書も見つかりました。

不当判決に抗議する原告・弁護団.JPG
最近の韓国での司法判断から思うこと

 4月21日慰安婦訴訟(「主権免除」判決)、6月7日
徴用工訴訟(日韓請求権協定による「却下」判決)など、
被害者を切り捨てる判決が韓国で続きました。あらためて、
裁判所は統治機構の一部であることを突きつけられた思いです。
日本か韓国かは関係ありません。
 また、「(植民地支配の)不法性は国際法的に認定されていない」
「(日本の請求権資金による)漢江の奇跡」(6/7判決)など、
日韓で広がる歴史修正主義が色濃く反映していると思います。
他人ごとでは済まされません。
 振り返ると、日本での戦後補償裁判提訴時、「却下」(門前払い)
が予想される中、実質審理を裁判所に行なわせるために、署名運動、
傍聴支援など苦心しました。改めて原点に立ち戻り、被害者の訴え、
歴史の実相に裁判所を向き合わせる運動が問われていると思います。
また、日本政府、日本企業の情報は日本に存在します。日本での
訴訟を承継した訴訟と異なり、韓国で新たに起こした訴訟は立証に
おいて不利です。日韓市民や研究者、法律家の海を越えた協力体制が
必要となっています。
 ノー!ハプサにおいても、韓国の遺族の立場に立って、社会・
歴史・習俗等の視点から被侵害利益の立証に力を入れています。
コロナ禍の困難性はありますが、試練を乗り越えて、より強力な
連帯関係を築き、困難な裁判を一歩でも前に進めたいと思います。

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